グレイシー柔術とは?


グレイシー柔術のルーツ

ブラジルのグレイシー一家、特にその中でもヒクソン・グレイシーの名前をご存じの方は多いと思います。
ところで、グレイシー柔術のルーツをご存じでしょうか?
そのルーツは、講道館柔道の前田光世です。

1900年代の初頭に始まった世界的な格闘技運動のさなか、前田は柔道の技をひっさげて世界の格闘家達と闘い抜き、その戦歴は2000試合をほとんど無敗というものでした。
前田は、世界を転戦しながらブラジルへ渡りグレイシー一家に柔術を教えました。
エリオ・グレイシーは、この柔術を総合格闘技として体系だてました。
これが現在のグレイシー柔術の始まりとなったのです。

グレイシー柔術のコンセプト

エリオ・グレイシーと代表早川(雑誌「秘伝」2000年5月号)ブラジリアン柔術は、組技を基本としますが、パンチやキックのような打撃攻撃も視野に入れた格闘技です。
ブラジルでは、組技も打撃もあるバーリ・トゥードという方式の試合で実戦をつんできました。

動物の多くは戦う時に組み合っていきます。
人間も例外ではありません。
特に立ち上がって行動する人間はバランスを崩しやすい為、戦った時、よりグランドの状態(いわゆる寝た状態)が多くなります。護身等の実戦を重視した結果ブラジリアン柔術の始祖グレイシーが寝技を発展させてきた理由です。

世界の格闘技を見渡しても寝技を主体とするものは数える位しかありません。そんな中でもチョーク(いわゆる首締め)による攻撃が認められるのは柔術と柔道しかありませんでした。

チョークが最も残酷な攻撃手段とみなされている西洋の格闘技には全く存在しません。
最近ではPRIDEなどメジャーになりつつあるチョークも、ルーツは柔術にあるといえます。
チョークは相手を窒息失神においこむ技ですが、相手をいたずらに傷つけることなくコントロールできるので、法治社会である現代においてもしもの時に非常に有効な手段の一つとなるでしょう。

また、グレイシーは、「柔術は、力の弱い者のための格闘技」であり「小さい者であっても、技によって大きな相手をコントロールできる」と語ります。
自分の肉体や力を有効に使用することにより、技の効果を高めます。身長180センチに満たないヒクソン・グレイシーは、それを実戦で証明しています。

ブラジリアン柔術のシステム

帯認定ブラジリアン柔術は、通常、空手や柔道と同様に道着を着て帯を締めて行います。帯は白から始まり、青、紫、茶、黒とレベルが高くなっていきます。
各道場責任者もしくは日本ブラジリアン柔術連盟の認定により帯の昇級があります。

道着は、柔道や空手とよく似たものを使いますが、上着の袖やズボンの裾が細く、襟が分厚くなっているのが特徴です。好みでパッチをつけて楽しむ人もいます。

ブラジリアン柔術の試合形式

試合は帯の色と体重別に別れて行われ、白帯では1ラウンドが5分で行われます。
青帯の場合、1ラウンドは6分になります。
この時間内に、相手をタップ(参った)させ一本を取るか、又はより多くのポイントを獲得した者が勝者となるのです。
例えば、最も大きなポイントは、4ポイントでマウントポジションを奪うことにより得られます。
マウントポジションとは、相手を仰向けまたはうつ伏せにした状態で馬乗りになる態勢です。